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アンゴラ投資環境
2009年4月以降、金融引き締め政策の影響等により、ドルの海外送金が遅延したり、銀行でのドル引き出しに困難が生じる例が見受けられます。
石油等の天然資源に恵まれ、経済的ポテンシャルの高いアンゴラには、2002年の内戦終結以来、石油、鉱業、農業等、様々な分野への活発な海外直接投資が行われてきました。アンゴラでビジネスを始める外国企業は、民間投資庁(ANIP: Agência Nacional para o Investimento Privado)で然るべく手続きを行い、民間投資基本法(11/03, Lei de Bases Do Investimento Privado)等の国内法に従って投資活動を行うことになります。現時点におけるアンゴラの投資環境情報は以下のとおりです。
1.外資規制、外資優遇措置等
民間投資基本法に、外資規制及び外資優遇措置についての明確な記述はなく、また実際も今までのところ、右に係る問題は指摘されていないようです。一方で、民間投資基本法に定められている各種優遇措置及び義務が適用されるのは、国内資本であれば5万米ドル以上の投資案件であるのに対し、外資の場合は10万米ドル以上と区別されています。
2.収用(国有化)、許認可の取り消し
民間投資基本法の第14条では、アンゴラの政経情報に異変が起こり、国有化に向けた例外的な措置が採択された場合、国家は投資家に対し即座に現金で正当な賠償を支払う必要があるとしています。なお、2007年に、補償及び正当な理由なく、米国企業を含む複数の外国企業の採石権が取り消された例もあるようです。
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3.相手国政府及び国有企業との契約
政府及び国有企業との契約には民間投資基本法は適用されず、どのような法律が適用されるのか不透明な部分が多いため、ケース・バイ・ケースで判断することになります。また、石油産業への投資は石油活動法(Lei das Actividades Petroliferas)、ダイヤモンド産業への投資はダイヤモンド法(Lei dos Diamantes)等の特別法が存在し、ソナンゴル社(石油公社)及びエンディアマ社(ダイヤモンド公社)との契約には右個別法が適用されます。
4.現地人の雇用
民間投資基本法は、アンゴラ人労働者の雇用及び職務に必要な訓練の提供、能力に見合った給与、社会保障等を与える義務を負う旨定めている(第54条)ほか、財・サービスに関してアンゴラ業者の使用を奨励するなど、企業の「アンゴラ化」を促進しようとしています。また、政令5/95及び6/01は、国内及び外国からの投資によってアンゴラに設立された企業における外国人スタッフの割合を、全労働者の30%以下に制限する旨定めるほか、アンゴラ人に外国人と同様の職務と責任、及び給料を支払うよう定めています。また石油企業に関しては、アンゴラ人の雇用について、より厳しい条件を要求している場合もあります。
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5.送金等資金移動
民間投資基本法は、公式に認定された外国投資家に対し利益金の送金を保障する一方で、中央銀行規則(4/2003)は、10万ドルを超える利益金、配当金の送金について中央銀行(BNA: Banco Nacional de Angola)の許可を必要とする旨定めています。また、中央銀行は、巨額の送金が国家の収支に悪影響をもたらすことを避けるために、一時的な送金の停止及び分割送金を求めることができます。実際は、いかなる送金も中央銀行の許可が必要であり、10万ドルを超える場合は承認されるまで1~2ヶ月かかることもあります。また、産業によっても送金可能上限が異なります。
6.知的財産権侵害
知的財産法(3/92)は、地質・鉱物工業省が、商標、特許、デザイン等の知的財産権保護を管轄する旨定めており、文学、芸術、その他書物に関する権利は、著作権法(4/90)のもと、文化省が管轄しています。なお、アンゴラは2005年に「工業所有権の保護に関するパリ条約」に加盟しています。
7.技術移転要求
民間投資基本法は、外国人投資家がアンゴラ人労働者の能力向上及び管理職就任を促進することを奨励していますが、技術移転に関する規定は特段設けていません。
8.特定の産業分野
農業、製造業、水、住宅等の優先分野については、最大15年間の産業税、資本利得税免除、最大6年までの関税免除が適用され、多くの外国企業が何らかの免除を享受しています。なお、これらの権利を享受するためには、ANIPへの投資申し込みの際に適用を申請する必要があります。また、石油及びダイヤモンド部門等への投資は、各々個別法が適用されます。
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9.行政、法制度、司法制度
世銀(2008年)によれば、契約に係る異議申し立てが法的に解決されるまで、アンゴラでは平均1011日かかります。司法制度は極めて脆弱で、また、司法手続きに要するコストも高額なため、ビジネスに関する問題を法廷で争うことは避けるのが一般的と言えます。
10.公平な行政運営
一般的に政府高官の汚職が広く指摘されるアンゴラ(Transparency Internationalのデータでは、181カ国中158位)ですが、近年は国家財政に関する情報のオンライン公開を開始するなど、透明性の向上に向けて一定の努力を行っていると言えます。企業についても、国有企業、民間企業ともに、国際的な会計監査システムを導入するなど、改善に努める例が見受けられます。
11.入国
入国に際し、多くの投資家や企業関係者が査証(ビザ)の問題に直面しています。就労ビザの取得には通常6ヶ月以上を要します。日本企業関係者の場合、まずは1ヶ月間有効な一般ビザで入国し、最大2回までの現地更新を経て、合計90日間まで滞在を延長するなどの方法で対応しているケースが多く見られます。右90日間に就労ビザが取得できなければ、一旦出国し、出国先のアンゴラ大使館で再度一般ビザを取得してから再入国することになります。本来であれば、在京アンゴラ大使館にて就労ビザを取得してから入国することが好ましいと言えますが、取得には膨大な時間がかかることが予想されるため、まずは一般ビザで入国することが現実的のようです。一般ビザでの入国者は、アンゴラ国内で就労することを禁じられて� ��ることから、何かにつけて入管当局関係者から難癖を付けられることが多いと言われています。
12.通関
アンゴラの港湾及び空港は麻痺状態にあり、貨物の輸出入及び通関プロセスには費用も時間もかかります。世銀の報告(2009年)によると、貿易の容易さは世界181ヶ国中172位となっており、必要書類(輸出12件、輸入9件)、必要日数(輸出68日、輸入62日)、コンテナ1個にかかる費用(輸出2250ドル、輸入3325ドル)など、あらゆる点で問題が多いようです。
13.税制
優先分野で設立された外国企業は関税を免除されるとの規定があるものの、アンゴラ国内で少しでも生産されている物品の輸入に関しては、関税の支払いを求められることもあるようです。世銀の報告(2009年)によると、事業利益の53.2%(日本は55.4%)を、財務省及び中央銀行を通じて納める必要があります。税金の支払いに関する煩雑さでは、世界181ヶ国中130位で、年間の税金支払いは31回、時間にして272時間が費やされるとの世銀報告があります。
14.土地所有
土地及び都市計画に関する国内法によると、全ての土地は、究極的には国家に属するとされていますが、大部分の都市及び郊外の土地は、更新可能な長期の借地契約として実質的に個人の所有とすることが許されています。もっとも、世銀によると、所有権の登録には平均334日を要し、また不動産価格の11%を手数料として支払わなければならず、土地所有権の登録は世界181ヶ国中173位と、非常に手間と時間がかかると言われています(2009年)。なお、購入後5年経過していなければ売却ができないようです。
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